マンション経営大学

マンション経営・投資のリスクとメリットなら【マンション経営大学】

マンション経営大学

アパート経営の修繕費用の目安とは?重要な7つの修繕費と時期について

アパート経営をはじめとした不動産経営では築年数を経過するにしたがって老朽化が進みますので、修繕費用が発生します。約10~15年に1回は大規模修繕が必要となるほか、退去時の原状回復などにも修繕の費用がかかります。ここでは、想定しておかなければならない修繕費用や時期についてご紹介します。

1.アパートに必要な3種類の修繕

アパートは年数経過によって老朽化していきますので、定期的に傷んだり、問題が発生したりしている部分を修繕していかなければなりません。修繕を行わなければアパートの耐久性や安全性が低下する上、入居者の不満を招き退去につながったり、空室がなかなか埋まらなかったりという問題が生じます。
修繕はその規模と内容、期間により次の3種類に大別されます。

大規模修繕

10~15年程度の長期間スパンで必要となる、比較的規模の大きな修繕です。合計の費用は少なくとも200~300万円程度となるため、計画的に行い、資金を確保しておくことが必要になります。

修繕予防

修繕予防とは、大きな修繕が必要となる前に対処するための費用です。不具合の発生している場所には早めに部分修繕を行うなどの対処を行っておけば、先々の修繕コストを抑えることができます。シロアリの検査や、外壁のチェックなど、建物の検査費用が該当します。

小規模修繕(原状回復修繕)

小規模修繕とは軽度な修繕で、共用部分の日常的な修繕や、退去後のクリーニングや室内内装の整備などをいいます。一般に3年以内の周期で行われるか、20万円未満のものを指すことが多いです。

2.主な修繕費と修繕内容・時期・費用の目安

では、具体的にアパートに必要となる主な修繕費と修繕時期や内容についてご紹介します。

外壁工事

外壁工事は、建物の見栄えをよくするだけでなく、長期保全という観点からも必要です。一部のひび割れや剥がれであれば小規模修繕で対応しても問題ありませんが、一般に10~15年程度で塗替えを行わないと、建物の耐久性にも影響を及ぼします。外壁工事費用の目安は、足場の有無や塗装材料によっても異なりますが、おおむね1平方mあたり1~3万円程度です。

給排水管工事

配管関係は15~30年程度の寿命といわれていますが、ニオイやつまり、給水量の低下が見られる場合修繕が必要となる場合もあります。早い段階の劣化であれば、現在の配管を補修する更生工事で対処でき、1戸あたり15万円程度から修繕が可能です。傷みがひどく配管そのものを取り替える必要がある場合(更新工事)には、1戸あたり40万円程度の費用がかかります。

給水ポンプ交換

アパートには各戸に給水するために給水ポンプが使用されていますが、10~15年程度で交換が必要となります。費用の目安は、70~150万円程度です。5年程度で一度オーバーホールをしておくと、交換までの時期を伸ばすことができます。

屋根やベランダの防水工事

屋根やベランダの防水工事についても10~15年程度を目安に修繕が必要です。修繕を行わないと、雨漏りを起こす原因となります。現在は塗装による防水が主流で、使用する塗料にもよりますが、1平方mあたり数千~1万円程度がかかります。

防錆工事

共用部分の手すりなど鉄製の設備は、年数が経過すると錆が目立つようになります。見た目の悪化を招きますので、5年を目安に防錆工事を行います。費用の目安は1平方mあたり4,000円程度です。

エアコン・給湯器の交換

各戸の給湯器やエアコンは7年ごろから不具合が出始めますので、10年程度で交換を考えておく必要があります。それぞれ10万円程度で交換可能ですが、全戸数分必要ですのでまとまった出費となります。

クロスやクッションフロアの貼り替え

退去後に原状回復を目的として行う修繕です。それぞれ1戸あたり単身者用(1R、1Kなど)で5万円前後を見ておくとよいでしょう。

3.アパートの大規模修繕費には計画的に対応を


アパートは日常的な修繕を行っていても、10~15年に1度は大規模な修繕が必要です。そのため、あらかじめ修繕費用を含めた資金計画をしておかなければ、修繕が必要な時期になって資金が確保できないという事態に陥りかねません。

事業収支計画と同時に修繕計画も立てておく

経営当初から事業収支計画に大規模修繕のための費用を想定した上で修繕計画を立てておきましょう。修繕が必要となる項目ごとに、かかる費用と時期を一覧にした上で、どの時点でどの程度の資金が必要であるかを明らかにしておきます。

修繕費捻出には家賃収入からの積み立てを

数百万単位となることもある大規模修繕費用を確保するためには、目安として家賃収入から5%程度を積み立てしておくのがよいでしょう。ただし、修繕目的の積み立ては、実際に費用を支払った時点で経費に計上することになりますので注意しましょう。仮に資金が不足する場合には、リフォームローンを活用することも可能ですが、金利の負担が大きくなるためおすすめできません。

修繕費用を抑える方法

修繕費用は高額となる項目が多くなりますが、費用ばかりを気にしているとアパートの価値が低下して入居者確保が難しくなりますので、必要な修繕はきちんと行いましょう。修繕費用を抑えるには劣化やトラブルにいち早く気づき、対処を取ることが重要となります。信頼できる管理会社を選び、コミュニケーションも密にしておくことが効果的です。
また、費用の差は業者間でも発生します。修繕を依頼するときは、複数社で相見積もりを取り比較することや、業者の評判のチェックも欠かさないようにしましょう。
そして、経年劣化のみならず、自然災害により修繕が必要となる場合もあります。必要な保険にはきちんと加入し、積極的に活用してください。

4.修繕費に関するトラブルと回避方法


アパート経営において修繕費に関するトラブルが発生するのは、主に中古アパートを購入するとき、および経営中のアパートで入居者が退去したときです。

中古アパート購入時の修繕費トラブルと回避方法

築10年以上の中古アパートを購入する場合、購入直後の大規模修繕が必要となることを想定しておかなければなりません。修繕費に絡むトラブルを避けるには、必ず修繕履歴を確認した上で購入を考えるべきです。たとえ問題がないように見えても、あるいは売り手が問題ないとしていても注意しましょう。購入前に、ホームインスペクション(住宅診断)を利用することもよいでしょう。

退去時の修繕費トラブルと回避方法

退去者が出た場合、退去にともない部屋内の原状回復のためにリフォームやハウスクリーニングなどを行います。しかし、この費用をどこまで退去者が責任を負うかという点でトラブルになることがあります。原則としては、入居者が汚損した部分については入居者に原状回復義務が生じますが、判断が難しい場合もあります。トラブルとならないためには、国土交通省が制作している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考として、契約書・重要事項説明書で取り決めておき、入居時にきちんと説明をしておくことが重要です。また、退去時には必ず立会い、状態を退去者と相互確認を行いましょう。

5.修繕費を意識したアパート経営を

アパートにはさまざまな修繕費がかかりますが、物件の価値を保ち入居を維持していくには欠かせないものです。10~15年単位で高額な費用がかかることもありますが、修繕計画をしっかり立てておくことで十分に対処可能です。
また、修繕費は、劣化の回復であれば修繕費として計上できますが、修繕とともに価値を高めた場合には、資本的支出として減価償却が必要となります。このあたりの取扱いも考慮した上で中長期の修繕計画を立てておくことが大切です。

不動産投資の資料請求はこちら
不動産投資の無料セミナーに参加する