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アパート経営にも消費税は掛かる!消費税の基礎知識と還付金について

アパート経営にかかる税金といえば、収益用の不動産に対する固定資産税や都市計画税があげられますが、実は消費税も掛かっています。アパートの建築費用や購入の諸費用、修繕費などの支払いの際に消費税を一緒に支払っているからです。また、アパート経営者でもテナントつきのアパートの場合には受け取る家賃が課税対象となります。今回は、アパート経営者も知っておきたい消費税の基礎知識や、還付金についてご説明します。

1.アパート経営で消費税がかかる取引とは?

アパート経営では、課税対象になる取引と非課税になる取引があり、課税対象には消費税がかかってきます。特に家賃収入は物件の利用目的により課税対象かどうかが分かれます。アパート経営に関する取引で、どのようなものに消費税がかかっているのかを見ていきましょう。

消費税がかかる取引(課税取引)

居住用以外の店舗や事務所、社宅、倉庫、駐車場目的の家賃収入は課税対象になります。ただし、駐車場に関しては、駐車場が家賃に含まれている場合は課税の対象外です。
家賃収入以外で発生する課税取引には建物の建築費や売買代金のほか、物件購入時の仲介手数料などがあります。また、経営を始めてから支払う、管理会社への管理料や修繕費、必要備品の購入費、共用部分の電気代や水道代などにも消費税が課税されています。
アパート経営で消費税の課税対象となる取引をまとめると、以下のようになります。

居住目的以外の家賃収入
駐車場(一部例外あり)
電気・ガス・水道料金
ハウスキーピング
ルームメンテナンス
建物の売買

消費税がかからない取引(非課税取引)

居住目的の場合、家賃や共益費は非課税です。また、居住目的の入居者から預かる敷金(退去時に返還される場合)や礼金、契約の更新料にも消費税は発生しません。また、建物の売買費用については消費税が課税されますが、土地の売買については課税されません。
アパート経営で消費税の課税対象外となる取引をまとめると、以下のようになります。

居住目的の家賃収入
駐車場(一部例外あり)
共益費(家賃に含んでいる場合)
電気・ガス・水道料金(家賃に含んでいる場合)
土地の売買

課税非課税については、国税庁のホームページ「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」にて詳細に記載がございます。ご参照ください。

2.課税取引を行った場合の納税義務

消費税は商品の売却やサービスの提供に対して課税され、消費者が負担し、事業者が納付することになっています。そのため、課税対象取引となる店舗家賃などの収入を得ると納税義務のある課税事業者となるので注意が必要です。

課税売上高1,000万円以上は消費税の納税義務あり

課税事業者となるかどうかは、前々年(法人の場合は前々事業期)を基準期間として判断されます。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、課税事業者となり消費税を収めなければなりません。課税売上高は合算なので、不動産事業以外の事業売上も含みます。

ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、個人の場合は前年の1月1日~6月30日、法人の場合は、前事業年度開始から6か月間の課税売上高が1,000万円を越えた場合には課税事業者となります。この前年事業期の始めの半年間を特定期間と呼びます。

詳しくは国税庁の「消費税の仕組み」をご覧ください。

課税売上高が1,000万円以下は消費税の納税免除

課税売上高が1,000万円以下の場合、免税事業者となり、消費税の納税義務はありません。
ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、翌年に課税事業者選択届出書を提出すれば提出の翌年から課税事業者となることができます。輸出業のように支払った消費税の還付が受けられる状況の場合には、課税売上が1,000万円以下でも課税事業者を選択したほうが有利となる可能性が高いです。

こちらも詳しくは国税庁の「納税義務の免除」をご覧ください。

3.納税に必要な消費税の計算方法

課税事業者となった場合、消費税の納付をする必要があります。消費税の納税額の計算には原則課税方式、簡易課税方式の2つがあり、選択方式によって納税額は異なってきます。
課税売上高が5,000万円以下の中小事業者の場合、基本的には簡易課税方式を適用して納税額の計算を行います。

簡易課税方式

(課税売上高×8%)-(課税売上高×みなし仕入率×8%)

仕入れにかかった消費税を、課税売上高に一定のみなし仕入率を乗じて簡易的に算出します。みなし仕入率は、事業によって異なり、不動産業では第六種事業の40%です。みなし仕入率は実際に仕入れに支払った消費税ではないため、仕入れで発生している消費税が少ない場合には、簡易課税方式の方が有利となります。また、実際に支払い済みの消費税を計算する手間がかかりませんので、申告が簡単であるという点もメリットです。

なお、簡易課税方式を適用するには基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることのほか、適用事業年度の開始前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。また、簡易課税方式を選択すると、その年以降の2年は課税方式の変更や免税業者となることはできません。簡易課税方式を取りやめるときは、「消費税簡易課税制度選択不適用届」の提出も必要です。

簡易課税方式が適応できない場合は原則課税方式

課税売上高が5,000万円以上ある場合、原則課税方式が適応されます。原則課税方式とは、課税取引で預かった消費税から、実際に仕入れに支払った消費税を差し引いた差額を納税する方式です。

原則課税方式

(課税売上高×8%)-(課税仕入高×8%)

原則課税方式の場合、払いすぎが生じた際に還付が受けられます。

4.アパート経営でも消費税の還付金は受けられる?

消費税の納税額は、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた額になります。このとき、支払った消費税額が預かった消費税よりも多ければ、差額分の還付を受けることができます。還付を受け取るための条件は消費税の課税事業者であり、原則課税方式で計算を行っている場合に限ります。アパート経営者の場合には、家賃収入は非課税取引ですので、還付が受けられるのはほかに課税売上がある場合に限られます。

消費税還付の手続き方法

消費税還付の手続きは、個人の場合は課税期間の翌年3月31日まで、法人の場合は課税期間の末日の翌日から2か月以内に還付申請が必要です。管轄の税務署に次の書類を提出します。還付金は、申請後、1~2か月程度で指定の口座への振込みか、ゆうちょ銀行店頭で受け取ることができます。

5.消費税の知識を身につけて有利な申告を

消費税の納税義務が発生した場合、消費税の課税方法の選択によって収める税金に大きな差が出るケースもあります。1年だけでなく、数年単位でシミュレーションを行ったうえで有利な方法を選びましょう。消費税率が5%から8%になり、今後10%に変わっていきます。アパート経営において消費税が与える影響も大きくなってきます。必要に応じて詳しい専門家に相談するなど、適切な対処を取りましょう。

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