今の日本は不動産バブルなのか?東京圏の地価上昇と不動産投資過熱を冷静に考える
現在、日本の地価が上昇傾向にあり、一部では「不動産バブルが来ているのか」といった声も聞かれています。果たして、これは真実なのでしょうか。
今の日本は不動産バブルとは言えない2つの理由
早速、結論から言えば、今の日本は不動産バブルとは言えません。
そもそも「バブル」とは、地価や株価が実体経済から大幅にかけ離れている状態のことを指します。これが投機によって支えきれなくなると信用収縮へと陥り、崩壊へ至ってしまうというわけです。
例えば、2000年に起きたITバブルと現在を比べてみましょう。ITバブル時の2000年4月12日時点での日経平均のPER(株価収益率)は305倍ですが、2015年4月22日時点では18.1倍となっています。
PER(株価収益率)とは、簡単に言うと「どれだけこの株価が割安か」を知るための指標で、PERが低ければ低いほど「会社が稼ぎ出す利益に対して株価が割安である」ということになります。一般的には14〜20倍が適正です。つまり、ITバブル時の305倍という高騰状況はバブルだと表現できますが、現在は適正範囲内と言えるのです。
また、不動産の動きを見ても、バブルに対する警戒は垣間見られていません。むしろ、ノルウェーの政府年金基金「グローバル」が、東京とシンガポールへの不動産投資を準備するなど、海外から日本に対しての中長期的な投資が行われはじめています。
年金基金といえば、中長期にわたり安定した利益を出すという目的がありますから、海外の投資家たちは日本の不動産市場が一時的なバブルではないということを冷静に見極めていると考えることができます。
バブル崩壊を経験した世代は先入観に要注意?
経済学者のギウリアーノとスピリンバーゴが、アメリカのデータをもとに調査した結果によると、「若い頃に不況を体験した場合、その価値観に影響を与える」ということを明らかにしています。
さらに、アメリカで大恐慌時に生まれた世代の人々は非常にリスクを警戒し、景気が良くなっても一生変化はなかったとの結果も発表されています。
これは、若い時にバブル崩壊を味わったり、失われた10年に生まれた日本人にも同じことが言えるのではないでしょうか?
もちろん、リスクを考えることは悪いことではありません。ただ、リスクを必要以上に恐れてしまうことは、それ自体がリスクになってしまうリスクもあるのです。
心のどこかで「どうせ、地価なんてまたバブル崩壊のときみたく暴落する」と頑なに思い込んでしまっていませんでしょうか。ぜひ、最新の情報をもとに、より客観的な視点で見ることをオススメします。きっと違った結論が浮かび上がってくるはずです。
▼ リスクは恐れなければ回避できる