活況を呈する不動産市場!人々の意識変化が下支えしている ―日本銀行の意識調査から―
いま住宅・不動産市場は活況を呈しています。首都圏の新築マンション市況を例に挙げると、2013年度4月~9月までの新規供給戸数は2万9367戸と、前年度同期比で35.6%の増加。分譲価格も上昇傾向にあり、同期比7.8%アップの4920万円。売れ行きの好調で、4月~9月の月間契約率は連続して80%を超えています。一般に70%が好不調のラインといわれるので、それを大きく上回っています(長谷工総合研究所調べ)。
活況の理由として、景気の回復や2014年4月に予定されている消費増税に対する駆け込み需要などが考えられますが、人々の意識が大きく変化していることも、大きな要因として挙げられるでしょう。それは日本銀行が定期的に行っている「生活意識に関するアンケート調査」に如実に表れています。いま、不動産・住宅を購入しようとしている人たちは、この先の地価や景気についてどのような見方をしているのかを、みていくことにしましょう。
■過半数以上が「これから地価は上がる」と回答
日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」は、全国の満20歳以上の個人4000人を対象に、景況感や物価に対する実感、日本経済の成長力、先行きの地価動向などを訊ねるというもので、3カ月に一度実施されています。最も大きな意識の変化として表れているのが、「2012年12月調査」と「2013年3月調査」です。
まず、先行きの地価の動向について、2012年12月調査では「上がる」と答えた人は15.9%だったのに対して、「下がる」は42.6%でした。「上がる」から「下がる」を引いた判断指数(DI)はマイナス30.3。それに対して2013年3月調査では、「上がる」が全体の31.9%を占め、「下がる」の26.8%を上回わり、DIはプラス5.1。DIがプラスに転じるのは、2008年3月調査以来5年ぶりのことです。
さらに2013年6月調査では23.3、同年9月調査では11.2と連続してプラスとなっています。マンションなどの不動産価格がこの先下がると思えば、後になって購入したほうが得ということになりますが、上がるとなると早く購入したほうが得ということになります。まさに人々の意識変化が、冒頭に挙げたマンション市場の活況につながっているといえるでしょう。
■8割以上が「この先、物価は上がる」と回答
では、今後の景気動向について、どのような見方がされているのでしょうか。
現在の景況感については、2012年12月調査ではDIがマイナス50.6まで落ち込んでいましたが、2013年3月調査ではマイナス22.6と28.0ポイント改善しています。さらに1年後の景況感については、2012年12月調査のマイナス33.1からプラス6.8へと、一気に39.9ポイント改善。景気回復への期待が膨らんでいます。その後の調査では2013年6月調査プラス7.5、2013年9月調査マイナス9.6となっています。
1年後の物価見通しについては、2012年12月調査では「かなり上がる」が6.3%、「少し上がる」が46.7%で、両者の合計は53.0%でした。それが2013年3月調査では74.2%(63.8%+10.4%)といずれも増加。その後の調査でも2013年6月調査が80.2%(17.3%+62.9%)、2013年9月調査が83.0%(18.8%+64.2%)となっています。
深く染み込んでいたデフレマインドからようやく脱却しはじめたようです。こうした意識変化が起きた背景として、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を “3本の矢” とする安部政権の経済政策“アベノミクス”が、大きな役割を担っているといえるます。今後、不動産投資を行ううえで、人々の意識がどのように変化しているのかについても、強い関心を持っていくことが求められているといえるでしょう。
■ポイントまとめ
- 「地価下落」から「地価上昇」に人々の意識は大きく変化している
- 長らく染みついたデフレマインドから脱却
- 本格的な回復軌道に乗りはじめた住宅・不動産市場