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マンション経営を法人化すべきかどうか。そのメリットと注意点について

マンション経営が軌道に乗り始めると、個人事業から法人化へのシフトも視野に入れる時が来ます。マンション経営を法人化するタイミングは、本業の所得状況など個々によって異なりますが、本コラムではマンション経営を主事業にした法人化のメリット・デメリットや注意点をご紹介します。(個人・法人を問いません。)

1.マンション経営の法人化とは?法人化を考えるべきタイミング

マンション経営を法人化するということは、これまで個人事業として行ってきた経営を、新たに会社を作り、会社の事業としてマンション経営を行うようにすることです。経営が個人から法人へ移ることで、節税などのメリットが受けられますが、一方で法人運営の手間やコストがかかるというデメリットもあります。

不動産収入が「年間1,000万円を超えると法人化した方がよい」とはよく言われます。これは所得税率からみた目安です。個人所得は累進課税制度がとられており、所得が上がるほど税率が上がり、最高45%までに達します。ところが、中小法人の場合は、所得金額が800万円超の法人の法人税率は、一律で税率23.2%(ただし、平成30年4月1日以降開始の事業年度について)です。所得税率は所得金額が900万円超で法人税率を上回る税率33%に達しますので、所得がこのラインを超え始めると、法人化の検討を始めてもよいでしょう。会社勤めの方の場合は、意外と早く法人化が視野に入ってくるのではないでしょうか。また、専業の場合には、法人化によって社会的地位が向上するという作用もあります。

法人化が妥当となるラインは、個人の所得状況や控除額、物件の状態、法人税率によっても変動しますので、法人化の前には、税理士などの専門家に一度試算してもらうことをおすすめします。

2.マンション経営を法人化するメリット4つ

マンション経営を法人化した場合には、税金の負担が減ることなどさまざまなメリットがあります。ここでは大きなメリット4つについて詳しくご説明します。

税金の負担が減る

先に述べたように、課税所得が900万円を超える場合、法人化により所得税率が低くなるため、所得税の負担が減ります。所得が多いほど、所得税率の差が大きくなるため、法人化による節税効果が高くなります。

所得税制は毎年変動しますが、現状個人の所得税率は上昇を続ける一方、法人税率は抑えられている状況ですので、今後個人と法人の税率差はさらに広がる可能性が高いです。

また、法人化すると、家族を役員にして報酬を分散することによって節税ができます。分散することで、1人に所得を集約した状態よりも個人の所得税率が下がります。また、給与所得控除など控除を最大限に利用することができるため、結果として実質的に支払う税金の合計は大幅に低くなります。ただし、状況によっては社会保険料の負担が大きくなりますので、分散にこだわらずに退職金制度を活用した節税も状況に合わせて活用するとよいでしょう。

必要経費の算入範囲が広くなる

生命保険契約の内容によりますが、個人事業の場合保険料については生命保険料の控除額が年間最大12万円までであるのに対し、法人では制限がありません。半額または全額が損金計上できる、法人専用の保険商品もありますので結果として節税にも役立ちます。

損失の繰越や損益通算が可能

法人化した場合、事業で損失が発生した場合に最大10年まで繰り越しができるようになります。また、個人の場合は、不動産投資にまつわる利益でも、家賃収入は不動産所得、売買により損益は譲渡所得となり、これらの2つの所得については損益通算はできません。これに対し、法人の場合は、ほかの事業で発生した損失を不動産収入と相殺できるため、課税所得を抑えることが可能です。

相続税・贈与税の節税に役立つ

将来的に相続が見込まれる場合にも、法人化はメリットがあります。法人化をして相続対象の人を役員にして報酬を支払うことで、結果的に生前贈与という形を取らずに次世代に財産の移転することができます。

また、事業を継承する場合にも、法人が所有している財産については相続は問題とならないため、相続税は発生しません。ただし、相続対策で法人化する場合は、被相続人が株主とならないようにすることが必要ですので注意しましょう。

3.マンション経営法人化のデメリット3つ

法人化には税制面を中心にさまざまなメリットがありましたが、デメリットもあるため注意が必要です。

法人化にともなう費用がかかる

経営を法人化するには、新たに会社を設立しなくてはなりませんので、まずその費用が発生します。現在なら株式会社もしくは合同会社を選択することとなりますが、設立のための費用が必要です。株式会社の場合は、最低でも登録免許税15万円、定款認証手数料5万円、定款謄本手数料約2,000円がかかります。合同会社の場合は、最低で登録免許税6万円で設立が可能です。電子定款でない場合には、それぞれ印紙代4万円がプラスされます。
また、法人化のための会社設立の手続きはご自身でも不可能ではないですが、手間を考えると司法書士などの専門家への依頼が現実的です。その費用についても数万円程度必要となります。

経営状況にかかわらず維持費がかかる

個人事業の場合、マンション経営が赤字の場合、租税負担はありません。しかし、法人となった場合には、収益にかかわらず法人住民税の支払いが必要となります。法人住民税の最低金額(均等割分)は約7万円です(地域によって差異があります。)。このほか、会社の税務処理を税理士に依頼するのであれば、その報酬も必要となります。経営が赤字でも必ずこれらの費用が発生します。

諸手続きが煩雑になる

法人化し会社を設立すると、個人事業では必要のなかった事務手続きが必要となリ、手間がかかることもデメリットです。経理はもちろんのこと、社員の社会保険の手続きや、給与の源泉徴収なども必要になりますので、場合によっては専門家に依頼するなどの対処が必要かもしれません。

4.マンション経営事業を法人化する際に注意すべき点2つ

法人化でメリットを十分に受けられる場合でも、個人の状況によっては、法人化する際には注意しなければならない場合もあります。2点ご紹介します。

会社勤めの場合は副業規定に注意する

会社員で不動産経営を行っている場合も、法人化には注意が必要です。会社に副業禁止が規定されていることがあるからです。
会社にもよりますが、不動産投資による収益は不労所得のため、副業とはみなされないケースが多いです。しかし、会社を設立し、役員報酬を得る形式になると投資の範囲を超え、事業とみなされることが一般的です。会社員の場合は、事前に副業規定の取り扱いについて確認しておきましょう。最悪の場合には勤務先を解雇となる事例もあります。これはご自身だけでなく、役員に設定しようとしている家族についても同様ですので注意しましょう。

不動産を法人に売却した場合に譲渡税が発生することも

法人化する場合、現在個人が所有している建物を設立した会社に売却するという形で会社に所有権を移転する方法がとられます。このとき、売却価格が簿価額を上回っている場合、譲渡税の対象となります。減価償却を最大で行っていた場合には簿価金額が下がっているため、注意が必要です。

5.まとめ

マンション経営が軌道に乗り利益が大きくなると、いずれ法人化を目指すこととなるでしょう。法人化には手間や費用はかかりますが、税制面を始め数多くのメリットがあります。特に、今後物件を増やして本格的なマンション経営を考えている場合には、法人化を見据えた計画を立てておくことも一つの考えです。

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